トマトに隠れたパワーあり!血管の老化を防ぐエスクレオサイドAの秘密 全4回
Vol.1 発見は偶然から
Vol.2 リコピンとエスクレオサイドAって何が違うの?
Vol.3 エスクレオサイドAの吸収率をUPさせる方法って?
Vol.4 最先端の研究をしている永井先生に聞く!トマトの食べ方
永井竜児教授平成11年3月熊本大学大学院医学研究科修了・博士(医学)。専門分野は、食品機能学、生化学。サウスカロライナ大学客員教員を経て、熊本大学大学院医学薬学研究部病態生化学講座・助教。日本女子大学・講師、東海大学農学部バイオサイエンス学科食品生体調節学研究室准教授を経て、平成29年4月同教授。日本メイラード学会、日本抗加齢医学会、日本酸化ストレス学会等の評議員を務める。
テレビ朝日系の「林修今でしょ!講座」、テレビ東京系「主治医が見つかる診療所」等にも出演。トマトの栄養素「リコピン」「エスクレオサイドA」に関して講義をし、トマトのパワーが大きな話題になった。
── トマトの最先端の研究をしている永井先生は、普段どのようにトマトを食べているんですか?
生トマトをそのまま、あるいはドレッシングをかけて食べています。
リコピンは熱を加えて、細胞を壊した方が吸収率が高まると言われていますが、エスクレオサイドAは水溶性で熱に弱く、熱を加えると壊れてしまうんです。だから、リコピンとエスクレオサイドAの両方を摂取しようと思ったら、生のトマトにドレッシングをかけて食べるのが良いんです。
注意してほしいのが、ダイエットの時に、よくいいと言われる『ノンオイルドレッシング』ではいけません。
リコピンは油溶性なので、油と一緒に食べることで吸収率が上がります。そしてエスクレオサイドAは生で食べることで、壊れることなく吸収できます。油を取ることに抵抗があるかもしれませんが、油は満腹感を維持し、脂肪の燃焼を高めてくれるため、ダイエットにはむしろ適度に取った方がいいんですよ。
── なるほど。それでは1日の中では、いつ食べるのが1番いいですか?
朝ごはんに食べるのがオススメです。breakfastのfastは"早い"ではなくて"絶食"という意味です。要するに寝ている間、何も食べないので朝起きた時って飢餓状態なんです。『絶食を中断する(break-fast)』のが朝ごはん。
飢餓状態だった体は本能的に摂取したものを多く吸収しようとするため、トマトに限らず、朝ごはんに食べたものは1番吸収率が高いんです。吸収してほしいものは朝に食べるのが鉄則!
私の毎日の朝ごはんには、もちろんトマトと、どんぶりご飯に納豆2パックとネギをたくさん入れてかき混ぜたもの、あと味噌汁を食べています。トマト以外に、発酵食品を意識的に食べることで、腸内環境を整えています。
── 日々どれくらいトマトを食べるといいですか?
本当は、毎日ミニトマト1個でも動脈硬化の予防に効果があるのですが、人によって腸内細菌叢(そう)が異なりエスクレオサイドAの吸収率が異なるので、2、3個食べるのがオススメです!
ここで1番大切なのは、"毎日"食べること。リコピンは蓄積性があり体に貯まりやすいですが、水に溶けやすいエスクレオサイドAは蓄積できないんです。そして、老化はある時まとめて進むのではなく、日々の積み重ねです。
そのため、トマトをまとめてドカ食いするのではなく、なるべく毎日、継続的に食べることでエスクレオサイドAの効果が発揮されます。手軽にそのまま食べられるミニトマトならば、小袋に入れてかばんに少し忍ばせておくなど、皆さんも続けやすいのではないでしょうか?
また、注意してほしいのは、トマトに限りませんが体にいいからと一度に、食べすぎないこと。リコピンのように体に貯まりやすいものは、特に過剰症が起こりやすく、体に悪影響を及ぼす場合があるので気をつけてください。
── さて、本連載では4回に渡り、血管の老化を防ぐエスクレオサイドAの秘密を教えていただき、永井先生ありがとうございました!
読んでいただいた方には、トマトに含まれるエスクレオサイドAの働きについて、理解を深めていただくことができたと思います。取材中「血管を元気に保つことは、ほとんどの病気の予防になる」と永井先生がおっしゃっていたので、「何年後かの自分も健康な生活を送れたらいいな」とそんなことを考えながら、永井先生にお話を聞いた帰り道、トマトを買って帰りました。
みなさんも、これを読んだことをきっかけに、トマト生活を始めていただけるとうれしいです!